■近年人気の家族葬
家族葬は家族やごく親しい友人など近親者のみで行う葬儀のスタイルで、近年ニーズが増えています。
各葬儀社でも従来の一般葬プランに加えて家族葬プランやコースを用意する業者が増え、中には家族葬を中心に小さなお葬式のみを提供する葬儀社も登場しています。
高齢化により現役世代に亡くなる方が減り、両親の葬儀ですら定年退職後になるなど参列者が少なくなる傾向を反映し、少子化により残される子どもに迷惑をかけたくない高齢者が増えていること、費用を抑えたいという残された世代のニーズも反映されて生まれてきた葬儀スタイルです。
■家族葬のプランと最初の流れ
家族葬にもプランは様々あり、一般葬と同様に通夜と告別式を家族のみで執り行い、2日にわたって葬儀を行うプランのほか、通夜と告別式の儀式を1日で行ってしまう1日葬、火葬場でお別れの儀式のみを行う火葬式や直葬プランもあります。
家族葬をしたいと考えた際には生前に相談してあらかじめプランを選んでおくこともできますし、亡くなった際に喪主の方や残されたご家族で葬儀社とプランを選んで申し込むというのが最初の流れとなります。
葬儀社は基本的に24時間対応をしており、ご遺体の搬送から打ち合わせ、その後の葬儀の流れまですべてサポートしてくれるので安心です。
多くのケースは病院でなくなられることが多いですが、病院で死亡が確認されるとすぐに霊安室へと移動させられます。
その後自宅や葬祭場へと遺体を搬送するわけですが、霊安室の数も限られているため、通常1時間から数時間のうちには病院を出るよう求められるのが基本となっています。
悲しんでいる間もない状況で、遺体の搬送をどうするかや葬儀をどうするかを決めなければなりません。
とくに突然亡くなった場合などは業者選びなども大変な作業です。
葬儀業者をまだ選んでいない、どの業者があるかわからないという段階でも、病院で提携している業者が自宅に遺体を搬送してくれるので、まずは費用を確認の上お願いしましょう。
その業者にそのまま葬儀の依頼もできますが、いったんご自宅にご遺体を安置した上で葬儀業者選びやプラン選びをすることができます。
また、すでに葬儀業者が決まっている場合にはその業者に病院まで来てもらい、自宅または葬儀会館の安置室へと遺体を搬送してもらいましょう。
葬儀社が決まっている場合でも、最初のご遺体搬送は病院で提携している業者にすぐに来てもらうという方法も採れます。
■詳しい進め方を打ち合わせよう
まずは、葬儀社とプランのリサーチをして、費用面やサービス面で信頼できそうな葬儀社を1つ選びましょう。
フリーダイヤルまたは通常の電話番号を使って連絡を取り、葬儀の依頼をします。
すると通常は自宅または指定の場所までスタッフがやってきてくれます。
そこで、プランを決め、どのくらいの人数が集まるかを確認の上、日程を決めるのです。
基本プランの見積もりと人数に合わせたプラスアルファの費用の見積もりを提示してもらい、納得したら正式に依頼をします。
日程は葬儀場の空き状況はもちろんのこと、火葬場の空き状況も含めて決めなければいけません。
火葬ができないと葬儀が進められないので、地域の火葬場が空いているかを葬儀社が確認してくれます。
友引の日はお休みですが、友引の後や暑い時期、寒い時期など高齢者が体調を崩して亡くなるようなシーズンには混雑してなかなか予約が取れない場合があります。
この際には葬儀社にてドライアイスによるご遺体の腐敗ケアや、葬儀社にご遺体用の専用冷蔵庫が完備されており、そこで安置することでケアしているので安心してください。
なお、ドライアイスを替える度、冷蔵庫を使う日数に応じたプラス費用が発生しますので注意しましょう。
予約が取れる日時に合わせて通夜の日と告別式の時間帯を決めます。
葬儀社に専用の会館やホールがある場合と、市営の斎場を葬儀社を通じて予約してもらう場合、そして、菩提寺のお寺で行うための祭壇の準備などをしてもらう場合もあります。
予約が取れたら、家族葬に参列する予定者として親族や近しい友人などに連絡を取り、葬儀の日程を告げましょう。
参列の状況を確認し、通夜振る舞いや精進落としなどの料理の手配や返礼品などの準備もしてもらいます。
これを合わせて後日に費用が決定されますが、料理については前日くらいまで調整が可能なことも多く、返礼品については一般的に実際出た分だけの料金となり、必要ない数の分まで費用が発生しないよう配慮されているのが一般的です。
■祭壇や生花や供物などの手配
家族葬プランを選ぶ際には祭壇や棺のグレードを選ぶことや、生花スタンドの手配や供物などの準備も必要です。
通常、指定や希望を出すだけで葬儀社がすべて行ってくれますが、選び方によって費用も変わってくるので、しっかり説明を受け納得の上でお願いしましょう。
祭壇は家族葬といってもごく小規模なものから一般葬よりやや小さいくらいの祭壇まで揃っており、祭壇を飾る生花の種類やカラー、ランクなども指定ができます。
焼香台などの準備もしてくれ、果物などの供物も用意してもらえ、通常、プランの中に込みとなっています。
生花スタンドについては親族などから贈られることもありますので、葬儀社と打ち合わせしつつ並べてもらいましょう。
祭壇に飾る遺影の準備も必要ですが、近年は遺影として正式に撮影したものがなくても、手元の写真で簡単に遺影が作れる便利な時代になっています。
デジタルカメラなどのデータをはじめ、すでに現像された写真からでも作成ができ、背景を消すことや背景のカラーを変えることはもちろん、写真の中で着ている衣装まで着替えさせる修正や加工を施すことができます。
そのため、背景や衣装などは気にせず、故人の一番よい笑顔の写真や自然な雰囲気で映っているものなど、故人を偲ぶことのできるしっくりくる写真を選ばれるといいでしょう。
■葬儀までに行う自宅での弔いの流れ
葬儀までの日取りが少し空いている場合、毎日枕飯を飾る、お線香を絶やさないようにするなど宗教や宗派ごとの儀式を行っていきます。
信仰が深くないという方も、葬儀社の方が一般的な仏教式や地域の風習に合わせて弔いの仕方をアドバイスしてくれますので、それに沿って行うとよいでしょう。
また、家族葬なので基本的にはご近所の方や一般の方の弔問もお断りされるケースが多いとは思いますが、それでも最期にお別れをしたいと訃報を聞きつけた方が弔問に訪れますので、弔問客への対応を行う必要がでるのです。
■通夜に向けたタイムスケジュール
葬儀の流れは自宅からの出棺の場合は納棺式から始まります。
納棺は一般的には通夜の前日に行われ、納棺師やそのノウハウを持つスタッフが訪れ、ご遺体を清めて装束をまとわせ、死に化粧を施してくれます。
その上で、お棺にご家族やご親族と一緒に納めるのです。
お化粧の仕方にも希望を出すことができますし、どの衣装を着せたいのかの希望も出せ、希望する衣装に着替えさせてくれます。
着物やスーツ、ワンピースなど故人が愛した衣装を選びましょう。
通夜の日は夕方15時から16時ごろに、霊柩車または希望に応じてワゴン車などに棺をのせて出棺するのですが、ご近所にもあまり知られることなく行いたいときには出棺のクラクションも鳴らさず、静かに出棺します。
葬儀場に到着するとすでに祭壇の準備や席の準備、通夜振る舞いを行うときには料理の配膳の準備や配膳スタッフも待機しています。
遺族控室や親族の待合室なども用意されているので、通夜が始まる時間まで待機しましょう。
僧侶を依頼している際には住職が僧侶控室に入りますので、タイミングを見計らって挨拶に行き、お布施をお渡しします。
僧侶の手配やお布施については宗派や葬儀プランなどによっても異なりますので、葬儀社とも相談しアドバイスをもらいましょう。
通夜の進行は葬儀社のスタッフの方が行ってくれ、オプションやプラン込みで専用の司会者の方を頼むことも可能です。
司会者の方とは10分程度の打ち合わせで、故人のことなどを伝えておくと、故人の人生やお人柄に合わせた内容を含めて司会進行をしてくれます。
通夜のタイムスケジュールとしては僧侶の入場の後に読経が始まり、僧侶のリードに合わせて参列したご遺族やご親族が焼香を行います。
仏教の場合、通夜と合わせて初七日の儀も行うのが恒例化しており、通夜に続けて初七日の焼香も行うことが必要です。
人数にもよりますが、小規模な家族葬であれば1時間から1時間半ほどで終了し、その後は通夜振る舞いとして精進料理や和食を中心とした食事をしながら故人を偲び、集まった方で歓談します。
遠方から来た方で翌日の告別式にも参列する方は宿泊場所の手配も必要となります。
ご遺族や親族の家に泊まるなら問題ありませんが、ホテルや旅館の手配が必要な場合は葬儀社にお願いすると、近隣で空いているホテルを予約してくれ、そこまでのお見送りに必要なタクシーの手配や翌日の斎場までのタクシー手配などまでしてくれることもあるので、忙しい喪主やご遺族の方に代わってお願いしてしまうと安心です。
■告別式のタイムスケジュール
告別式は火葬場の予約に合わせて、午前中または午後の時間に実施されます。
通夜を行った際には祭壇と棺はそのままの状態になっていますので、当日はとくに新たな準備の必要はなく、告別式の開始の1時間から30分ほど前までに会場入りをしましょう。
当日の進行も葬儀社のスタッフまたは依頼した司会の方が行ってくれるので、基本的にお任せでかまいません。
ただし、告別式では最後に喪主からの挨拶が定番となっており、家族葬の場合も通常行われます。
これに備えて喪主の方は挨拶やお礼の言葉を準備しておきましょう。
故人の生前のことなどを詳しく話す方もいらっしゃいますが、悲しい時期ですし、ごく簡単な内容でかまいません。
また、火葬場への移動があるため、タイムスケジュールもけっこうタイトになっていますので、長くなるより短時間の内容のほうがベストです。
司会に合わせ、やはり僧侶の入場と読経に始まり、参列者の焼香が行われます。
焼香が済みましたら必要に応じて親族やご親友からの弔辞を頂き、届いている電報などの紹介が行われ、喪主からの挨拶が行われますが、ごく親しい家族だけで行う場合はこれらの流れは省略ができます。
儀式が一通り済むと棺に花をたむけ、棺が閉じられる最期のお別れの儀が行われるのです。
その後ご出棺となり、ご遺族さまで棺を担ぎますが、家族葬で人手が足りない際には葬儀社のスタッフのサポートも得て、霊柩車へと納めます。
霊柩車には通常、喪主の方ともうお一方くらいしか乗れませんので、それ以外の方は各自マイカーもしくは葬儀社に手配を依頼したマイクロバスで火葬場へと向かいます。
火葬場に併設した市営の斎場などで告別式を行った際には、移動も比較的スムーズです。
一方火葬場まで距離がある会館で告別式を行った際は、霊柩車が火葬場に向けて出発するのに合わせ、親族のマイカーやマイクロバスが続き、火葬場へと移動します。
火葬場に到着すると火葬前に最後のお別れの儀として僧侶による読経が行われます。
点火された後、ご遺体がご遺骨になるまで1時間ほどかかりますので、その間精進落としとして献杯の挨拶の後、お食事をして待つのが一般的です。
ご遺骨になったらお骨を収骨する儀式が行われ、通常は2人1組でお箸を使ってお骨を挟んで骨壺に移し、一通り終わりますと係の方が丁寧にご遺骨を納めて骨壺を手渡してくれます。
ここまでくると一連の儀式は終了し、後はご自宅にご遺骨を持ち帰ります。
ご自宅での後飾りなども葬儀社の方が準備してくれるとともに、2日、3日開けて落ち着いたころに正式な請求書を持って葬儀社の方が訪れ、代金の支払いなどが行われる流れとなるのがよくあるパターンです。
■喪主としての心得や行うべきこと
家族が亡くなり喪主となると、とくに初めての方は何をどうすべきかと不安になるものですが、基本は葬儀社がすべてサポートしてくれるので安心できます。
そのためにも重要となるのが葬儀社選びです。
価格面が気になるのはもちろんですが、親身なサポートときめ細やかなアドバイスで喪主を支えてくれる業者を選ぶのがポイントです。
故人を想うとともに、参列してくれる親族などにも配慮しながらプラン選びや料理、返礼品などを選べば、故人亡き後も親族や近親者の支援が受けられることでしょう。
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